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競輪のレースを見ていて、レースの途中で抜け出す走者がいることに気がついた方はいないでしょうか。
紫や紺を基調としたところに、オレンジ色の線が入ったユニフォームを着ているのも、その走者の特徴です。
その走者というのは、先頭誘導員というペースメーカーの役割を担っている人で、レースには欠かせない存在です。
この先頭誘導員について、「追い抜いたら失格になってしまう」というルールがあります。
どのような基準で失格になるのか、失格になったらどうなるのか、解説していきます。
1.競輪のレースで見かける誘導員って何する人?役割やユニフォームなど
レースにおいて、ペースメーカーの役割を持つのが、先頭誘導員という方。
その名の通り、先頭を走ることで選手たちを誘導する人のこと。
出場する選手のなかで先頭に立つ選手が現れると、その選手だけがモロに風を受けてしまうことになるので、これを防ぐという目的があります。
自分が風よけの役割を買って出ることで、選手の体力の消耗を平等にするということですね。
先頭誘導員は、紫や紺の下地にオレンジ色の線が入ったユニフォームを着ることが決まっているので、レースを見ていれば誰が先頭誘導員なのか、すぐにわかります。
2.誘導員はレースを盛り上げる縁の下の力持ち!誘導員追い抜き禁止のルール
選手の体力の消耗を平等にするために走るのが、先頭誘導員の仕事です。
選手たちは、「先頭誘導員を追い抜くことが禁止されている区間」を抜けるまで、先頭誘導員を追い抜いてはいけないというルールがあります。
違反すると失格の対象になるので、選手たちにも慎重に走ることが求められます。
追い抜きが禁止されている区間は、バンクの大きさによって異なります。
333バンクで残り2周半まで、400バンクで残り2周まで、500バンクで残り1周半までが、追い抜き禁止ゾーン。
競輪のレースは「およそ2000mになる距離」で周回数が決められるので、バンクのサイズによって、周回数や追い抜き禁止ゾーンを定める周回数も異なる、ということですね。
なぜこのようなルールを定めたかというと、選手たちが早めに仕掛けてくることを抑え、レースの盛り上がりを終盤に作りたいということがあるでしょう。
競輪には、打鐘の前から仕掛けていた選手について、最終的に先頭を走る選手と5秒以上の差をつけられた場合、失格になってしまうというルールもあります。
先頭誘導員とは関係が薄いルールではありますが、「早期の仕掛けを抑え、終盤に盛り上がりを持ってきたい」という思惑を徹底するためのルールという意味で、共通点があるでしょう。
3.誘導員追い抜きルールは厳重化されていた!2019年のルール改正
実はこの「先頭誘導員追い抜き禁止ルール」は、2019年に改正され、より厳しいルールと変わりました。
現行のルールでは、333バンクで残り2周半まで、400バンクでは残り2周まで、500バンクでは残り1周半までが、追い抜き禁止の区間として定められています。
しかし、改正前は、333バンクで残り3周まで、400バンクでは残り2週半まで、500バンクでは残り2周までとなっていて、今よりも禁止区間が短くなっています。
これらを表にしてまとめてみましょう。
過去(2019年以前) | 現在(2019年以降) | |
333バンク | 残り3周 | 残り2周半 |
400バンク | 残り2周半 | 残り2周 |
500バンク | 残り2周 | 残り1周半 |
表にすると、各バンクで半周ずつ禁止区間を伸ばしているのが分かりますね。
「レースの盛り上がりを、より終盤に凝縮しよう」という思いが見られます。
また、先頭誘導員に対して危険な行為や妨害行為をした際に罰則が与えられる、というルールがありますが、これについても重罰化がされました。
もともとは「重大走行注意」に留まっていましたが、厳罰化されて、現在では「失格」になってしまいます。
4.失格になってしまった選手はどうなる?違反点数が溜まると特別指導や配分停止に
失格になると、そのレースの着順や賞金は剥奪され、そのほかにも失格点という点数が加算されます。
失格だけでなく、違反をした際にも加算されますね。
これらの点数は累積されていて、直近4か月の累積点数が120点を超えてしまうと、斡旋停止となってレースに出場できなくなってしまうのです(あっせんされなくなる)。
120点なら1か月の斡旋停止ですが、150点なら2か月、180点なら3か月と、点数に応じて期間が長くなる仕組みです。
また、「直近4か月」という基準とは別に、「シーズン」という基準も設けられています。
1~4月、5~8月、9~12月と1年を3つのシーズンに分け、シーズンごとにも点数を計算しています。
1つのシーズン内で累積が90点以上になってしまった場合には、特別指導訓練を受けなければなりません。
この「シーズン」と「直近4か月」が重なってしまうと、斡旋停止と特別指導訓練が一気に課せられるという可能性もあるのです。
5.競輪の誘導員追い抜きのルールは厳罰化されていた|まとめ
選手の先頭を走り、選手の体力の消耗を平等にすることや、レースの盛り上がりを終盤に作るための役割を持つ、先頭誘導員。
追い抜きが禁止されている区間を抜けて、誘導員が退避するまでのあいだ、選手はこの誘導員を追い抜くことができません。
誘導員に対して危険な行為や妨害行為をした場合も含め、失格の処分を受けることがあります。
失格になると、そのレースでの着順と賞金は剥奪され、違反点が加算されます。
違反点は、直近4か月で120点を超えると斡旋停止、決められたシーズン中に90点以上になってしまうと、特別指導訓練を受けなければいけません。
レースの終盤に盛り上がりを作るため、という理由から、このようなルールが作られています。
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